「grill-me」という Claude Code スキルが話題になっている。Matt Pocock が自分の .claude ディレクトリをオープンソース化したリポジトリ(mattpocock/skills)に含まれており、GitHub で 5 万以上のスターを集めた。

名前だけ聞いてもどんなツールか想像しにくい。調べてみると、用途は一言でいえばこうだ。コードを書き始める前に、AI にあなたの設計を徹底的に問い詰めさせる。


/grill-me が解く問題

Claude Code に「〜を作って」と投げると、すぐに実装が始まる。指示が曖昧だと、途中で方向が変わるか、できあがったコードが意図と違う。

これは AI 固有の問題ではなく、要件定義が甘いまま実装を始めたときに起きる古典的な問題だ。「ラバーダッキング」という言葉がある。アイデアをゴム人形に話しかけながら考えを整理する方法で、話すうちに問題の構造が見えてくる。

/grill-me はこれを自動化し、さらにゴム人形が喋り返すようにしたものだ。


動作の概要

使い方は単純で、/grill-me コマンドを起動して、作りたいものを 2〜3 文で説明するだけだ。

あとは AI 側が仕切る。SKILL.md に書かれた指示は次の 3 点に集約される。

  • 計画のあらゆる側面を共有理解に達するまで執拗に問い続ける
  • 設計の決定木を枝ごとに分解し、依存関係を上流から順に解決する
  • 一度に一問だけ聞く。答えが明確なときは推奨案を示す

「決定木を枝ごとに歩く」という指示が核心だ。「この機能を作る」というひとつの依頼には、アーキテクチャ・データモデル・UX・エラー処理など多くの分岐点が含まれている。/grill-me はそれを一本ずつ潰しにいく。

セッションは 10〜45 分程度で、終了後に共有理解のサマリーが得られる。


インストールと起動

Matt Pocock のスキルリポジトリは npx コマンドで追加できる。

npx skills@latest add mattpocock/skills

プロジェクトの .claude/skills/ ディレクトリにインストールされ、その後は /grill-me として呼び出せる。

SKILL.md 自体は数行しかない。強力な動作を生み出しているのは巨大なプロンプトではなく、「徹底的に問い詰める」「一度に一問だけ」という明確なロール指示だ。


どんなときに使うか

複雑な機能ほど効果が出やすい。「この機能を作って」が一通りの解釈しかないなら使わなくていい。解釈の余地があるほど、問い詰めの価値が増す。

具体的には次のようなケースが向く。

  • 複数ファイルにまたがる機能実装
  • アーキテクチャの意思決定
  • 「とりあえず作ってみて」の前提が曖昧なとき

単純な修正やバグ直しには不要だ。設計の前提が固まっていない段階に使うものだ。


grill-with-docs との使い分け

後に /grill-with-docs という派生スキルが作られている。基本の動作は同じだが、既存コードベースを読み込んだうえで質問する点が違う。

新規プロジェクトや機能の初期設計なら /grill-me、コードベースがある程度育っていて既存実装を踏まえた設計をしたい場合は /grill-with-docs が向く。


参考